前芸まえげい)” の例文
キザなことを言うようですが、このへんはまだほんの前芸まえげい。どうしてもシラを切られるなら、いよいよ本芸ほんげいにとりかかる。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
淑女紳士諸君レディス・アンド・ジェントルメン、ただいまのは、ほんの前芸まえげい、これより、やつがれ十八番の本芸ほんげいに取りかかりまあす。ハイッ」
月と手袋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「どうだ一番、あの紙張の中と、葛籠の中、鬼が出るかじゃが出るか、俺とお前のはつのお目見得めみえにはいい腕比べだ、天竜寺の前芸まえげいにひとつこなしてみようじゃねえか」
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
貴方が余り目覚めざましい人気ゆゑに、恥入るか、ものねたみをして、前芸まえげい一寸ちょっとつた。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「あたし達は、ほんの前芸まえげいですもの」
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)