前掛まえか)” の例文
わたしは、それを前掛まえかけに入れて、持ってくるんだがね、その前に、一つ一つの星に、番号をつけておかなければならないのさ。
子供らがさけんでばらばら走って来て童子にびたりなぐさめたりいたしました。る子は前掛まえかけの衣嚢かくしからした無花果いちじくを出してろうといたしました。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
白いシャツをひじまでまくり、天竺てんじくもめんのまっ白い前掛まえかけして、かいがいしいごしらえだ。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
奥さんは聖ヨハネの祭日にむすめに着せようとして、美しい前掛まえかけを縫っていました。むすめはお母さんの足もとのゆかの上にすわって、布切れのはしを切りこまざいて遊んでいました。
その葉を取って、子供がおなかの上につければ、ちょうど前掛まえかけのようになります。それから、頭の上にのせると、雨が降っているときには、雨がさのかわりになります。
自分のからだにだけは非常ひじょう潔癖けっぺきであって、シャツとか前掛まえかけとかいうものは毎日あらっている。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
牛のほうはぞうさないけれど、むすこは助かる見込みこみがない。おふくろが前掛まえかけでなみだをふきながら茶をだしたが、どこにもよいことばかりはないと、しみじみ糟谷かすや嘆息たんそくした。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)