刻煙草きざみ)” の例文
茶の唐縮緬めりんすの帯、それよりも煙草に相応そぐわないのは、東京のなにがし工業学校の金色の徽章きしょうのついた制帽で、巻莨まきたばこならまだしも、んでいるのが刻煙草きざみである。
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
野生の煙草の木がどこにでもあって立派な刻煙草きざみになるからである。手製のパイプへそれを詰めて惜し気なくそれを吹かす時私は真に幸福であった。小憎らしいのは猩々である。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
例の調子でわざと空っとぼけた彼は、澄まして刻煙草きざみ雁首がんくびへ詰めた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうして長い煙管きせる刻煙草きざみを吸いながらこんなことを云われた。
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)