刻参ときまいり)” の例文
今度は鬼女、般若の面のかわりに、そのおかめの面を被せい、うし刻参ときまいり装束しょうぞくぎ、素裸すはだかにして、踊らせろ。陰を陽に翻すのじゃ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なれど、場所がらゆえの僻耳ひがみみで、今の時節にうし刻参ときまいりなどはうつつにもない事と、聞き流しておったじゃが、何とず……この雌鬼めすおにを、夜叉やしゃを、眼前に見る事わい。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
仕丁 はあ、いえ、孕婦はらみおんなが鉄橋を這越はいこすから見ますれば、うし刻参ときまいりが谿河の一本橋は、もなく渡ると申すことで。石段は目につきます。裏づたいの山道やまみちを森へかよったに相違はござりますまい。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)