出汁だし)” の例文
塩加減で食べてもうまく、そば出し汁程度の出汁だし、あるいは味噌汁みそしるをかけて食べるのもよい。これに納豆を加えると、さらにうまい。
子供のためにってことは、子供——つまり、子供等の時代のためってことであって、絶対に、子供を出汁だしに使ってはいけないんだ。
くめ子は柄鍋に出汁だしと味噌汁とを注いで、ささがし牛蒡ごぼうつまみ入れる。瓦斯ガスこんろで掻き立てた。くめ子は小魚が白い腹を浮かして熱く出来上った汁を朱塗の大椀に盛った。
家霊 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
万事はお他人任せといった顔して……それほどならばなぜ最初から素直すなおに友人に打明けて、会のことを頼まないのか? 君はいつもいつも友人を出汁だしに使って、君という人はじつに……
遁走 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
……なんだ、妙な面をするな、こんなトボケタ小娘だから、なにも知るまいと思って、さんざ出汁だしがらにしゃぶりゃがったが、事件コトのありようは元すえまで、なにもかにも知ってるんだぞ。
金狼 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
こぶの出汁だしは、実に結構なものでありまして、さかなの料理にはこぶ出汁にかぎります。かつおぶしの出汁では、さかなの味が二つ重なるので、どうしても具合の悪いものができます。
日本料理の基礎観念 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
僕はその時も君が困っている時だったから何も言わなかったけれど、君はいつもそうして蔭へ廻っては友だちを出汁だしに使って、そして自分だけいい顔しているようなことをやるじゃないか。
遁走 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
昆布こぶ鰹節かつおぶし——選定および出汁だしの取り方・けずり方
日本料理の基礎観念 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)