出来損できそこな)” の例文
「何だい、このもくねじは……。これは出来損できそこないじゃないか。なぜこんなものが入っていたんだろう。誰かぼやぼやしてやがる」
もくねじ (新字新仮名) / 海野十三(著)
何しにこんな出来損できそこないが舞い込んで来たかという顔付をした父は、ほとんど子としての待遇を彼に与えなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかしお前がそれほどに出来なかったとしても、俺は決してお前が出来損できそこないだったとも女として行届かないとも思わないだろう。総子のことにしてもそうだ。
女の一生 (新字新仮名) / 森本薫(著)
野原の外れで、のこぎりで枝を切った。S町の金物屋で小刀を買った。始めはさいしょから出来損できそこないであった。九日で小さい鳩笛を彫刻した。なんだか、へんてこりんであった。でも、ハトであった。
老人と鳩 (新字新仮名) / 小山清(著)
「お慈悲です。あんな出来損できそこないではございますが、てまえの老妻には、あれがいなくては、生きがいもないくらい、可愛がっている奴でございます。どうぞお慈悲をもって、あれの一命だけは」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生まれながらの出来損できそこないじゃな。ここへ捨てられるまでは、さぞ悲しい目に会ったことじゃろう。おい、もくねじさん。お前はこのままじゃ、どうにもうだつが上らないよ。
もくねじ (新字新仮名) / 海野十三(著)
悪いという意味は作物が出来損できそこなっているのです、どこか欠点があると云うのです。
文芸と道徳 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「その風はなんだ、宿場女郎の出来損できそこない見たようだ。なぜ帯をしめて出て来ん」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
片輪かたわ出来損できそこないの芸術であります。
教育と文芸 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)