出会であい)” の例文
旧字:出會
それから、こういう出会であいは、三回かぎりのこと。それがすめば、伯爵たちの側にどんな事情があろうとも、本船は一路本国へひきあげること。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
山三郎が圖書と小原山に於て出会であいのお話で、彼方かなたには同類が沢山ありますから大勢に取囲とりまかれるかと思ってくと
たしかに周さんとの出会であいの当初に於いても、共感を生ぜしめた卑近なきっかけの一つになったのは前にも幾度となく、くどいくらいに念を押して説明して来たとおりで
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
私はそれを認めると、そういう少女たちとの出会であいは私の始終ゆめみていたものであったにもかかわらず、私はよっぽど途中から引っ返してしまおうかと思った。私は躊躇ちゅうちょしていた。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
それがはしなくこんな事態を生じて、一人の佐々木小次郎に出会であいを仕掛けながら、二度まで、多くの同門が返り討ちになってみると、痛切に、ふだん軽蔑していた剣法に自信のないのが悲しまれてきた。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
南ロシヤの別荘地での二人の出会であい。男の恋愛遊戯的な気持。
チェーホフの短篇に就いて (新字新仮名) / 神西清(著)
私の帽子の上に不意に落ちて来た桜の実が私のうちに形づくり、拡げかけていた悲しい感情の波紋はもんを、今しがたの気づまりな出会であいがすっかりき乱してしまったのを好い機会にして。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
笹山鬼二郎は相当の悪党でもあり、頭脳も腕も胆力も衆にすぐれているらしく、この前の虎の門公園の出会であいにおいても、遂にあの秘密地図の半分を相手に渡さないでしまったことは確実だった。
そんな最初の出会であいの時には、大概たいがいの少女たちは、自分が見つめられていると思う者からわざとそっぽを向いて、自分の方ではその者にまったく無関心であることを示したがるものだが
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
帆村探偵との出会であいも、その発作中ほっさちゅうの出来事だった。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)