凡慮ぼんりょ)” の例文
いや深いか浅いかすらのぞかせない所があった。あお黒い深淵のなかには、どんなぬしがんでいるか、凡慮ぼんりょには測り知ることができなかった。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうして人間同士がお静かに分れた頃には、一件はソレりゅうの如きもの凡慮ぼんりょの及ぶところでない。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ずっと後になっては、官兵衛自身ですら、時折に、その頃のことを思い、以て、とかくわがまま凡慮ぼんりょにとらわれ易い平時の身のいましめとしていたという事である。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしご仁慈じんじあついお心より、求めるに求めがたく、お悩みのご様子にちがいないと、それがしどもの凡慮ぼんりょを以ても、お察しいたしておりましたので……かくは計ろうて参りました。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こういうことを、凡慮ぼんりょの及ぶところにあらず、というのだろうか。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
凡慮ぼんりょのいたすところで、負けてみねば分らぬところでござった」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まったく、われらの凡慮ぼんりょでは、おしはかれぬものがある」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)