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凝乎
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じつ
ふりがな文庫
“
凝乎
(
じつ
)” の例文
『好し、好し。今帰つてやるよ。僕だつて然う
没分暁漢
(
わからずや
)
ではないからね、先刻御承知の通り。処でと——』と、腕組をして
凝乎
(
じつ
)
と考へ込む
態
(
ふう
)
をする。
札幌
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「若し梅子さん、間違つてたなら勘弁して下ださいな——あの、篠田長二さんて方ぢやありませんか——」言ひつゝ銀子は
凝乎
(
じつ
)
と梅子を見たり、梅子は胸を押へて
復
(
ま
)
た只だ
俯
(
うつむ
)
きぬ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
さうして、外からの侵入者に警戒するやうな・幾分敵意を含んだ目で、私の方を
凝乎
(
じつ
)
と見てゐる樣子である。あれは誰だと、若い女に聞けば、ワタシノダンナサンノオ母サンと答へた。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
軈
(
やが
)
て何喰はぬとりすました顏をして
夕餉
(
ゆふげ
)
の食卓に向つた。彼は箸を執つたが、千登世はむつちりと默りこくつて
凝乎
(
じつ
)
と
俯向
(
うつむ
)
いて膝のあたりを見詰めてゐた。彼は險惡な沈默の壓迫に堪へきれなくて
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
ギシ/\する茶壺の蓋を取つて、中蓋の取手に手を掛けると、其儘後藤君は
凝乎
(
じつ
)
と考へ込んで了つた。左の眉の根がピクリ、ピクリと神経的に
痙攣
(
ひきつ
)
けてゐる。
札幌
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
胸も張り裂けんばかりの新しき苦悩を集中して、梅子は
凝乎
(
じつ
)
と篠田を仰ぎ見ぬ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
彼は客の眼を
凝乎
(
じつ
)
と見詰める。
名人伝
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
凝
常用漢字
中学
部首:⼎
16画
乎
漢検準1級
部首:⼃
5画
“凝”で始まる語句
凝
凝視
凝然
凝結
凝固
凝議
凝脂
凝塊
凝集
凝滞