“冷笑（わら）” の例文
『そういうお前は、言葉の裡（うら）で、良人のおれが、こうして無策（むさく）な顔しているのを冷笑（わら）っているのであろうが』
死んだ千鳥 (新字新仮名) ／ 吉川英治(著)
外交問題が八釜敷（やかましく）なり掛けた頃と思ひますから——道時が晩餐（ばんさん）の時、冷笑（わら）ひながら、お前の御自慢の梅子さんも、到頭（たうとう）海軍の松島の所へ行くことになつたと言ひますからネ
火の柱 (新字旧仮名) ／ 木下尚江(著)
であるのに、たえず、すぎの若木（わかぎ）は、周囲（しゅうい）の草（くさ）や、木（き）や、虫（むし）などを冷笑（わら）っていたのです。
雪くる前の高原の話 (新字新仮名) ／ 小川未明(著)
「自分一人偉い者のようにいって」お前もそういって冷笑（わら）った。
うつり香 (新字新仮名) ／ 近松秋江(著)
「虚構（こしら）えるぜ！」と冷笑（わら）った。大坊主はじろりと顔を見た。
露萩 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)
イワン、デミトリチはニヤリと冷笑（わら）つた。
六号室 (旧字旧仮名) ／ アントン・チェーホフ(著)
伝吉はにやりと冷笑（わら）った
嫁取り二代記 (新字新仮名) ／ 山本周五郎(著)
お才は煙管（きせる）ポンと叩（たゝ）いて、フヽンと冷笑（わら）ひつ「皆ンな大洞さんの賄賂（わいろ）だアネ——あれでも、まア、大事なお客様だ、日本一の松島さんてなこと言つで、お煽（だて）てお置きよ、馬鹿馬鹿しい」
火の柱 (新字旧仮名) ／ 木下尚江(著)
イワン、デミトリチはニヤリと冷笑（わら）った。
六号室 (新字新仮名) ／ アントン・チェーホフ(著)