内股うちまた)” の例文
すると垢じみた継ぎだらけの裾が割れて、白い内股うちまたしりのほうまであらわに見え、私はうろたえて眼をそらした。私は信じがたいほど美しいものを見たのだ。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
しわに包まれた老婆の全身を埋めた刺青の醜怪しゅうかいさから、若い女の起誓ママきしょうをこめた、腕や、内股うちまたの名前や、花札はなふだや、桜なぞの刺青から、アルコール分の摂取せっしゅとか
刺青 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
その高いまちれた内股うちまたにひびが切れて、風呂に入るとこれにひどくしみて痛むのもつらかった。
新年雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そのまま内股うちまたに駈けてゆくお艶のうしろ姿に、源十郎の眼がじいっと焼きついたと見ると
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
君江が内股うちまた黒子ほくろの事を、村岡にいい付けて『街巷新聞』に投書させたのであった。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ソシテソノ足ヲ畳表ノ下駄ノ上ニ載セテ、極端ナ内股うちまたデ歩イタ。
瘋癲老人日記 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
内股うちまたの歩き方だが、その足の運びはすばやく
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
「それじゃ、お前はどこだ。内股うちまたかね?」
桜桃 (新字新仮名) / 太宰治(著)
するとあかじみた継ぎだらけのすそが割れて、白い内股うちまたしりのほうまであらわに見え、私はうろたえてをそらした。私は信じがたいほど美しいものを見たのだ。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)