内紛ないふん)” の例文
叔父の身のまわりにも、不平や内紛ないふんはあった。知らないではない。しかし家康として、忠重までが——とは、考えられもしなかったことらしい。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
元来蘇武は平和の使節として捕虜ほりょ交換のためにつかわされたのである。ところが、その副使某がたまたま匈奴の内紛ないふんに関係したために、使節団全員がとらえられることになってしまった。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
北畠の家中へも、徳川方の内部へもかれはあらゆる機会をとらえては、内紛ないふん内訌ないこう素因そいんを植えて来たのである。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「一族内紛ないふんの蔭には、何よりも、平良持の遣領が、争いの因になっていると断じる。よろしく、将門に渡すべき荘園の地券や、田領の証書など、一切を、このさい返却して、和解いたすように」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山城守道三どうさんは、養子の義龍よしたつに殺され、その義龍も去年病死したりして、美濃は内紛ないふんに次ぐ内紛のみだれにあり、事実、小六への影響としても、道三の在世中は仕送っていた年々の禄米ろくまいや何かの手当も
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)