八間はちけん)” の例文
そのまはりにや又若え者が、番頭も一しよに三人ばかり、八間はちけんの明りに照らされながら、腕まくりをしてゐるぢや無えか。
鼠小僧次郎吉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
毛繻子張けじゅすば八間はちけん蝙蝠こうもりの柄には、幸い太いこぶだらけの頑丈がんじょう自然木じねんぼくが、付けてあるから、折れる気遣きづかいはまずあるまい。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
夏目先生が千駄木せんだぎにお住居すまいであったころ、ある日夕立の降るなかを、鉄御納戸てつおなんど八間はちけん深張ふかはりかさをさして、人通りのない、土の上のものは洗いながされたような小路を
大塚楠緒子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
あかあかと自分の顔を照らす八間はちけんあかりのいろさえ、一段と花やかなもののあるよう感じられた。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
天床に八間はちけんが二つ、木口の新しい、小ぎれいな店の造りを明るく照らしている。
落葉の隣り (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
雨の降る日だったので、私は無論かさをさしていた。それが鉄御納戸てつおなんど八間はちけんの深張で、上からってくるしずくが、自然木じねんぼくを伝わって、私の手をらし始めた。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
美味いもの屋で通っている両国の小大橋こたいきょうの表はよく日が当っているのに、八間はちけんの灯でもほしいほど薄暗い一番奥の腰掛けで、ふた品三品並べて盃のやりとりしながらややしばらくしたとき
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
その天蓋に、今度は高座の上から吊されているあの八間はちけんの灯を感じた。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)