入込はいりこ)” の例文
流鶯りゅうおう啼破ていは一簾いちれんの春。書斎にこもっていても春は分明ぶんみょうに人の心のとびらひらいて入込はいりこむほどになった。
野道 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
今日は日比谷の散歩やら、芝居の立見やら、滿つまらなく日を暮して、おしまひに床屋へ入込はいりこんで今まで油を賣つてゐたのであるが、氣がついて見ると、腹はもうかみつくやうにつてゐる。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
大原という処は鬼怒きぬ水電工事の中心である。ために入込はいりこんでいる工夫こうふの数は三千人程あるという話だ。山間の僻地へきちの割には景気がいいらしい。商賈しょうこもドシドシ建つようだし、人間の往来も多い。