児雷也じらいや)” の例文
旧字:兒雷也
その時継母が持って帰った、番附や鸚鵡石おうむいしを後に見ると、その時の狂言は八代目団十郎の児雷也じらいやであった。この時継母と同行したのは山本の家族であった。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
児雷也じらいやが魔法か何か使っているところや、顔より大きそうな天眼鏡てんがんきょうを持った白い髯の爺さんが、唐机とうづくえの前に坐って、平突へいつくばったちょんまげを上から見下みおろすところや
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
長方形の湯槽ゆぶねの上に石榴口ざくろぐちといって、押入じみた形のものがあって、児雷也じらいやとか、国姓爺こくせんやとか、さまざまの絵が濃い絵具でいてあり、朱塗の二、三寸幅の枠が取ってあって
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
家構が古い形だけに、児雷也じらいやとか鼠小僧ねずみこぞうとか旧劇で見る義賊のような空想に過ぎない。
監獄署の裏 (新字新仮名) / 永井荷風(著)