先陣せんじん)” の例文
いちどきに家中かちゅうの者がめかけてくる手はずとなっておるのだから、いわばわれわれはりの先陣せんじんねごうてもないほまれをつとめるわけなのだ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
川音清兵衛かわおとせいべえ、今日こそ手柄てがらをたてんものと、いつも先陣せんじんに馬をかけさせていたが、このときうしろの小高い山かげから、ど、ど、どと、山くずれのような地ひびき立てて
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
すでに明るくはないけれど、まだいて見える空気のなかを、先陣せんじんのカブト虫たちが、重々しいうなりを立てて飛んでいた。わたしは坐ったまま窓をながめ、いつか開きはしまいかと待ち受けていた。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)