先払さきばら)” の例文
ぶっきらぼうで、ぶあいそうな客だとはおもうが、なにしろ先払さきばらいで宿料やどりょうに二枚の金貨きんかをわたしている。わるい気もちはしなかった。
ある機会で、しもに掲げる二つの手紙を手に入れた。一つは本年二月中旬、もう一つは三月上旬、——警察署長の許へ、郵税先払さきばらいで送られたものである。
二つの手紙 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
康頼 いつもは私の車の先払さきばらいの声にもふるえあがった青侍あおざむらいが、急に征服者のように傲慢ごうまんな態度をもってのぞみだした。彼らと車を同じくすることだけでもえられない恥辱ちじょくと思っていたのに!
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)