トップ
>
兀々
>
こつこつ
ふりがな文庫
“
兀々
(
こつこつ
)” の例文
否
(
い
)
な独り同人ばかりでなく、先生の紹介によって、先生の宅に出入する幕賓連中迄
兀々
(
こつこつ
)
として筆をこの種の田舎新聞に執ったものだ。
おばけずきのいわれ少々と処女作
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
上方は、
兀々
(
こつこつ
)
とした大磧、その間を縦に細長く彩色しているのは草原、下方は、偃松、ミヤマハンノキ、タケカンバ等が斑状に茂っている。
穂高岳槍ヶ岳縦走記
(新字新仮名)
/
鵜殿正雄
(著)
見たい土地はふみ難く、
兀々
(
こつこつ
)
として月日を送らねばならぬかと
思
(
おもふ
)
に、気のふさぐも道理とせめては
貴嬢
(
あなた
)
でもあはれんでくれ給へ、可愛さうなものでは無きかと言ふに
ゆく雲
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
百千の媚惑脅迫と難闘して洞穴や深山に苦行を
累
(
かさ
)
ねたが、修むるところ人為を
出
(
いで
)
ずで、妻を持ち家を成し偽り言わず神を敬し、朝から晩まで
兀々
(
こつこつ
)
と履の破れを繕うて
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
終日終夜、机と首っ引をして、
兀々
(
こつこつ
)
と
出精
(
しゅっせい
)
しながら、
妻
(
さい
)
と自分を安らかに養うほどの働きもない。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
霧は殆んどなく、その頃になると、霞沢岳は、裾がまだ緑であるのに、中腹はモミジで紅く燃えるようになり、頭は
兀々
(
こつこつ
)
たる花崗岩で、厳粛なる大気の中に、白く
晒
(
さら
)
されている
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
が、蜘蛛は——産後の蜘蛛は、まっ白な広間のまん中に、
痩
(
や
)
せ衰えた体を横たえたまま、薔薇の花も太陽も蜂の
翅音
(
はおと
)
も忘れたように、たった一匹
兀々
(
こつこつ
)
と、物思いに沈んでいるばかりであった。
女
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
下劣なる趣味を拘泥なく一代に
塗抹
(
とまつ
)
するは学人の恥辱である。彼らが貴重なる十年二十年を
挙
(
あ
)
げて
故紙堆裏
(
こしたいり
)
に
兀々
(
こつこつ
)
たるは、衣食のためではない、
名聞
(
みょうもん
)
のためではない、ないし
爵禄財宝
(
しゃくろくざいほう
)
のためではない。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
錫杖の頭を並べたような
兀々
(
こつこつ
)
した巉岩が
数多
(
あまた
)
競い立っている。
穂高岳槍ヶ岳縦走記
(新字新仮名)
/
鵜殿正雄
(著)
兀
漢検1級
部首:⼉
3画
々
3画
“兀々”で始まる語句
兀々然