傾注けいちゅう)” の例文
自然主義を捨て、盲目的反抗と元禄の回顧とをめて全精神を明日の考察——我々自身の時代に対する組織的考察に傾注けいちゅうしなければならぬのである。
人相書も付随しているので、一時警視庁は、それに該当がいとうする人物の探査に全力を傾注けいちゅうした。モスコーの犯人の動機は、宗教上の狂信的な妄執もうしゅうからだった。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
見神の一義に君は到頭とうとう精力せいりょく傾注けいちゅうせずに居られなくなったのである。しかして生涯の大事だいじ、生存の目的を果したので、君は軽く肉のころもを脱いだのであろう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
この直後の、秀吉のうごき一つに、かれの関心はいま傾注けいちゅうされていた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)