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偸安
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とうあん
ふりがな文庫
“
偸安
(
とうあん
)” の例文
親代々の
食禄
(
しょくろく
)
を守っていればよい、もはや合戦ということもない、士分の人々のそういう
偸安
(
とうあん
)
に対して、足軽たちは出世したいという希望があった。
足軽奉公
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
世界の歴史にも
往々
(
おうおう
)
見ることだが、他の力を当てにして一日の
偸安
(
とうあん
)
を計るということが一番
畏
(
おそ
)
るべしだ。これは支那の歴史にはいくつもその例がある。
日支親善策如何:――我輩の日支親善論
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
これは一面において科学的思想の
涵養
(
かんよう
)
の不足をものがたると共に、他面においては上述の多年の
偸安
(
とうあん
)
的な習性が災いしているのではないかと考えられる。
日本文化と科学的思想
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
これが単なる甘さでないことは、彼の童話にさえ、妥協と
偸安
(
とうあん
)
がなく、人生に対する厳烈な批判が、ほのぼのとした影を投じていることをもってしてもわかる。
坪田譲治の味
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
こは
偸安
(
とうあん
)
と云ふよりも、若きを
恃
(
たの
)
む心もちなるべし。この心もちに安住するは、余り
善
(
よ
)
い事ではないかも知れず、云はば芸術上の
蕩子
(
たうし
)
ならんか。(八月二十三日)
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
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為家から為氏・為世の撰集に感じられるところの、和歌を風流の嗜みと化した数寄者の
偸安
(
とうあん
)
でもない。吉野の廷臣に歌を歌わせたものは、自らに悲運を感じた感傷であった。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
偸安
(
とうあん
)
的でない作家が、そして私のような愛情で生きている女が二つのもの(態度)に足をかけて、ふりわけで生活してゆかれるなどと思うということはあり得るのだろうか。等々
獄中への手紙:04 一九三七年(昭和十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
当時の開国論者の多くは真の開国論者に非ず、ただ
敵愾
(
てきがい
)
の気を失し、外人の
恫喝
(
どうかつ
)
に
辟易
(
へきえき
)
し、文弱、
偸安
(
とうあん
)
、
苟且
(
こうしょ
)
の流にして、而して
彼
(
か
)
の鎖国論者中にこそ、かえって敵愾、
有為
(
ゆうい
)
、
活溌
(
かっぱつ
)
の徒あり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
開港貿易を説く者あるいは戦争を厭忌する
偸安
(
とうあん
)
の思想に出でたるあらん。
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
もしかようなものがわれわれの民族的特質であるとするなら、それはややもすればわれわれを
偸安
(
とうあん
)
的に導くものとして大いに
戒
(
いまし
)
めねばならないと思われる。
日本文化と科学的思想
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
偸安
(
とうあん
)
の念か。いや、そんなものではない。それはもつと不思議な性質のものだ。丁度山へ登る人が高く登るのに従つて、妙に雲の下にある麓が懐しくなるやうなものだ。
芸術その他
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“偸安”の意味
《名詞》
偸 安(とうあん)
目先の安楽をむさぼり将来を考えないこと。
(出典:Wiktionary)
偸
漢検1級
部首:⼈
11画
安
常用漢字
小3
部首:⼧
6画
“偸安”で始まる語句
偸安姑息