佐竹さたけ)” の例文
「いえ、裏の断崖の水汲みずくみ道をつたって、杉坂を越えれば佐竹さたけ様の御領分です。大丈夫みつからずに行って来られますわ」
峠の手毬唄 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
下谷したや佐竹さたけはらしば薩摩原さつまっぱらの如き旧諸侯の屋敷跡はすっかり町になってしまった後でも今だに原の名が残されている。
なにこれは佐竹さたけ下屋敷しもやしきで、だれでも通れるんだからかまわないと主張するので、二人ともその気になって門をくぐって、やぶの下を通って古い池のそばまで来ると、番人が出てきて
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
蘿月はその頃お豊の家を訪ねた時にはきまっておいの長吉とお糸をつれては奥山おくやま佐竹さたけぱら見世物みせものを見に行ったのだ。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
寛永十七年の二月であった……疋田は秋田藩佐竹さたけ家の老職で二千三百石だし、宇女の家は平徒士かちで二百石余の小身だったが、疋田の嗣子主馬が宇女をみそめ、たっての望みで縁が結ばれたのである。
三十二刻 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
蘿月らげつころとよの家を訪ねた時にはきまつてをひ長吉ちやうきちとおいとをつれては奥山おくやま佐竹さたけぱら見世物みせものを見に行つたのだ。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)