似合にあわ)” の例文
老人の住居すまいは、噂に聞いた身分に似合にあわしからぬ川向うのP町で、同じように立並んだ古びた四階建の、とある二階の全体を間借りしていた。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
この人若いに似合にあわ沈着おちついたちゆえ気をしずめて、見詰めおりしが眼元めもと口元くちもと勿論もちろん、頭のくしから衣類までが同様ひとつゆえ、始めて怪物かいぶつなりと思い、叫喚あっと云って立上たちあが胖響ものおと
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
本当に貴方はお若いに似合にあわない親切な方です、暮に差掛さしかゝってせがれはいず、ようかと思っている処へ、十両とまとまった金を下さるとは有難いことで、御恩の程は忘れません
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
山鹿が、彼に似合にあわ魂消たまげるような叫びをあげると、ガタンとカンテラを取り落した。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
君も名高いお方に似合にあわん事で