伴立つれだ)” の例文
パイプをくわえた赭顔白髪の夫と伴立つれだって贅沢なファー・コオトにジェードの耳飾をつけた老夫人が品のいい英語で店員に何かのグラフィックを運び出させている。
道づれ (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「大将も一しょじゃあないか」「大将が来たぞ!」と土方は口々に囁く、やがて小林監督は駐在所の巡査を伴立つれだってやって来た。土方は言い合わせたように道をあける。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
九里の二人ふたり伴立つれだつて歩いたが、きちがひざまに僕のつぺたへすこぶる野蛮なコンフエツチの投げ方をする者があるから、振返つて応戦しようと思ふと其れは滿谷、徳永
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
又背の低い方は自分と同じく漢詩を作る事を知つて居るので、一月もその同じ道を伴立つれだつて帰るうちには、十年も交つた親友のやうに親しくなつて、互の将来の思想も語り合へば
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
何となれば、月日はまたと歸り來ずとも、刹那刹那に湧出でる新しい生物は其生の續く間、甞つてわれらの生にも伴立つれだつて、時に之を照したと同じ幻影を作出することに勉めるからである。
落葉 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
十二時頃に伴立つれだつて帰つたが、予は早速野口君をい人だと思つて了つた。其後一度同君の宅を訪問した時は、小樽の新聞の主筆になるといふ某氏の事に就いて、或不平があつて非常に憤慨してゐた。