道づれみちづれ
山がたに三という字を染め出した紺ののれんが細長い三和土の両端に下っていて、こっちから入った客は、あっちから余り人通りのない往来へ抜けられるようになっている。 重吉は、片側に大溝のある坂の方の途から来てその質やの暖簾の見える横丁にかかると、連 …