伝法肌でんぽうはだ)” の例文
旧字:傳法肌
大きな眼を据え顔を傾けて、早口の伝法肌でんぽうはだ、膝をくずした姿も色めき、男を男と思わぬところ、例によって姐御一流の鉄火てっかな調子……。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
浮世絵師の伝記を調べたる人は国芳がきわめ伝法肌でんぽうはだ江戸児えどっこたる事を知れり。この図の如きはまことによくその性情を示したる山水画にあらずや。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そしてそれには丁度よく美しく品位ある中村歌右衛門や、故人の沢村源之助という、伝法肌でんぽうはだな打ってつけの役者がいた。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
眉山は遠くからながめてると女のように媚かしいただの色若衆であったが、会って見ると岩本院いわもといんの稚児上りといいそうな江戸ッ子風の伝法肌でんぽうはだであった。
それともそのやうな奥様あつかひ虫が好かでやはり伝法肌でんぽうはだの三尺帯が気に入るかなと問へば、どうで其処そこらがおちでござりましよ、此方こちらで思ふやうなは先様がいやなり
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
持って生れた縹緻美きりょうよしと伝法肌でんぽうはだから、矢鱈やたらに身を持崩していたのを、持て余した親御さんと世話人が、じょうを明かして等々力の若親分に世話を頼んだものだそうですが
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
すると、側に食い止めていた伝法肌でんぽうはだの町人も、一緒になって
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)