会心かいしん)” の例文
旧字:會心
客の口から、国々の風土人情、一芸一能の話に耳を傾けて、時々会心かいしんえみらす丹後守のかおには聖人のようなとうとさを見ることもあります。
藤吉郎の返辞に池田勝三郎は、かえって会心かいしんな笑みをもらした。そして、馬上に移り、また会おうと別れ去った。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「世界で日本、日本で粕谷」に拍手喝采した諸君は、此時破顔一笑、会心かいしんのさざめきを以てむくうてくれました。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
娘はたちまちその蒼白く美しい顔に、会心かいしんえみもらして、一礼を述べてのちわたしがほんのこころばかりの御礼の品にもと、かねてその娘が死せし際に、そのひつぎに納めたという、その家に古くより伝わった古鏡こきょう
雪の透く袖 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
こういう会心かいしんなものに対しながら、やはり平常の如き理性をもって、すこしも表に感激をあらわさない大人どもが、信長には、張りあいがない、飽きたらない。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
左右の者のすすめは秀吉をして、いうまでもないことよ、と会心かいしんの笑みを抱かせたにちがいない。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
将卒たちの会心かいしんとするところは、一番首、一番槍などの手がらにあったが、主将たる者のひそかな満足は、ただひとつ、自分の達見たっけんが的中していたと感じるところにある。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは、会心かいしんみと力とをこめて思わず打った強さだった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
藤吉郎や夕菴せきあんをかえりみて、信長は会心かいしんの笑みをうかべた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)