付焼刃つけやきば)” の例文
真に美味おいしい料理はどうも付焼刃つけやきばでは出来ません。隣りの奥さんがやられるからちょっとやってみようか、ではだめであります。
日本料理の基礎観念 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
誰も知らないところから引抜いて来て、それを養成して、そうして付焼刃つけやきばではないところの本値ほんねを見せて、あっといわせるところが、興行師の腕であり、自慢である
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「諸君。理想は諸君の内部からき出なければならぬ。諸君の学問見識が諸君の血となり肉となりついに諸君の魂となった時に諸君の理想は出来上るのである。付焼刃つけやきばは何にもならない」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
世に生きとし生ける雑多な人間——どん、お天気、軽薄、付焼刃つけやきば、いかなる凡才にせよ、何かの役に立たないという者はなく、何か一面の特性をもたないという者はないけれど
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)