他目ひとめ)” の例文
だが、またある折はばけたつもりでだまかしておいて貰ひます。それではづかしげもなく人中ひとなかへも出ます。化粧といふのは他目ひとめごまかすのではなく自分の心を化しなだめるのです。
鏡二題 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
夜叉羅刹やしゃらせつ猶予ためらわず、両個ふたり一斉に膝を立てて、深川夫人の真白き手首に、黒く鋭き爪を加えて左右より禁扼とりしばり三重みえかさねたる御襟おんえり二個ふたりして押開き、他目ひとめらば消えぬべき、雪なす胸のの下まで
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)