人浚ひとさら)” の例文
その頃から私は『人浚ひとさらひ』に浚はれて行くといふ恐怖なども感じて、祖母と二人ぎり寂しい隱居所の方へ行く時には、寢床の中に小さくなつて寢たことも有りました。
最後さいごわたくしがあのとき天狗てんぐさんの頭目かしらからきかされた、人浚ひとさらいの秘伝ひでんをおつたえしてきましょう。
「東京には人浚ひとさらいというこわいものがおるで、気をつけないといけないぞえ。」
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
亜米利加の町にはギャングとかガメンとかいう奴がどこにでも居て昼日中でも強盗や人浚ひとさらいをやらかす。気の弱い奴と見たらピストルで脅威おどかして大盗賊おおどろぼうや密輸入の手先にしちまうから気を附けろ。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)