争闘そうとう)” の例文
武門ぶもんをすて、世をすて、あらゆる恩愛おんあい争闘そうとう修羅界しゅらかいを、すてられた人の身の上でござるもの。話すべきにあらず、また話して返らぬことでもある」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
机博士の暗室あんしつにもぐりこんでいた春木清と牛丸平太郎は、思いがけなくも博士対首領のすさまじい争闘そうとうを見た。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
抽象的の善玉、悪玉の永遠の争闘そうとうの如き思想は、一時も早く排斥すべきである。同時に霊界を一の清浄無垢の理想境と考える事も、また飛んでもない迷妄である。
運命と人間との争闘そうとうを描いたと言われる「第五シンフォニー」はこの頃作られた。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
つぎにおこる驚天動地きょうてんどうち争闘そうとう御岳山上みたけさんじょうにおけるこのへん大眼目だいがんもくえがくために、あえて、ここに緩慢かんまん数行すうぎょうをついやす筆者ひっしゃ作心さくしん支度したくをゆるしたまえ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
という悲鳴が、争闘そうとう草叢くさむらの中から響いてきた。それは武夫の口から出た叫び声にちがいなかった。
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
一方は光、他方は闇、この戦は精神的、並に肉体的の、あらゆる方面に向って行われる。無論両者の争闘そうとうは、時代によりて消長しょうちょうを免れないが、現在はその最も激しい時代である。
しかもそれは、寸分すんぶんの休みもなく走っている鷲の背なかで、天空の上で——行われつつある争闘そうとうだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一行と怪人との争闘そうとうが始まったが、結局一人の怪人に一行は全く征服されてしまう。怪人は人間より遥かに強かった。又学術的にすぐれた頭脳を持っているようであった。
科学時潮 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
マルモ隊長は、ついに争闘そうとうを命令した。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)