久離きゅうり)” の例文
三年前に久離きゅうり切って勘当され、二十五にもなるいい若い者が、妻恋坂の知り合いの二階にすこともなくゴロゴロ暮しているのでした。
かまの下の灰まで自分のもんや思たら大間違いやぞ、久離きゅうり切っての勘当……」を申し渡した父親の頑固がんこは死んだ母親もかねがね泣かされて来たくらいゆえ
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
節句前の事でおとっさんの耳へ這入ったから、固い人ゆえ中々承知致しません、何んでも勘当をしなければ許嫁いいなずけの万年町の岡本へ対して済まないから、久離きゅうり切って勘当をするというので
久離きゅうり切っての勘当」
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
いさぎよく久離きゅうり切って勘当し、自分も商売が嫌になったものか、横山町の店は人に譲って、その身上しんしょうを、地所と家作とおびただしい現金に換え、寺島村の寮に引っ込んで
父親おやじ母親おふくろも田舎気質かたぎの固いものでございますから、久離きゅうり切って勘当され、今では生れた家でも足踏あしぶみをする事が出来ませんので、私の母親は屋敷奉公をして来たという話を聞いて居りましたが
病気の父親を見捨てて奉公人と夜逃げをするようなせがれに用事はない、久離きゅうりって勘当の上、おいの助十郎を入れて跡取りにし、明日は親類中を呼んでその披露をした上
何時までもそんな事を言うなら久離きゅうり切って勘当する——と申しますと、それからは床に就いたっ切り、三度の食事にも起きて来ず、まるで半病人になってしまいました。
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
徳松は落合村の百姓の子で、素姓の悪くない男ですが、友達にやくざが多かったので、いつの間にやら、その道に深入りし、親許は久離きゅうり切られて、ひとかど兄哥あにいで暮しておりました。
一番怨んでいるのは、お神さんのあにさんで、本当ならこの家を継ぐはずだった市五郎さん。これは、賭博癖てなぐさみが好きで久離きゅうり切られ、三河町みかわちょうで器用から思いついた、細工物をしております。
「いえ、二年前に別れたきりでございます。三百両の金はとうにつかってしまったでしょうが、久離きゅうり切った兄のところへ顔を出すのがおっくうで泉屋さんを困らせているのかもわかりません」
父親がくなると、すっかり羽を延してしまった秀吉は、やくざ者の仲間に入って久離きゅうり切られ、母と妹のお梅は、かなりの財産と一緒に、叔父に当る黒木長者の孫右衛門に引取られましたが