主賓しゅひん)” の例文
主賓しゅひんのあなたに帰られては、今夜の集りの意味がなくなってしまいます。……明智さん、あなたは今夜はどうかしていらっしゃるようですね。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
と、秀吉が特に、猿若舞の上手じょうずを招いて、老母を主賓しゅひんに、夫人を客に、そのほか城中の家族たちを皆、招待して、一日の楽しみを、共にしたのである。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから三日間というものは、妾の邸のなかは主賓しゅひんの静枝と、飛び入りの安宅真一とを加えてたいへん朗かな生活を送った。真一は別人のように元気に見えた。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いかにその演説が教育に関係するを要しないとても、青年が主賓しゅひんになっている以上は、まねかれる弁士はただ能弁のうべんだとか悧口りこうだとかいうだけの資格では足りない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
老生は酔語し、主賓しゅひんは酔聴す、何ぞ道理有らん
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「今日は、あんたが主賓しゅひんじゃ。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
信長は、主賓しゅひんの元康と並んで坐った。いずれが上座、いずれが下座というていもなかった。たえず二人がにこやかに笑み交わしている様が、遥か末席の群臣からも眺められた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼を主賓しゅひんとする警視総監主催の祝賀会さえ断った位だ。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)