世阿弥ぜあみ)” の例文
世阿弥ぜあみの能楽に関する著書など、いわゆる文章としてはずいぶん奇妙なものであるが、しかしまた実に天下一品の名文だと思うのである。
科学と文学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
又、『花伝書』の著者、世阿弥ぜあみなぞも、写実ということを極力説いているけれども、結局それが、所謂いわゆる写実でないことは又明白なところである。
FARCE に就て (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
大和やまと春日かすが神社に奉仕していた大和猿楽師さるがくしの中、観世座かんぜざ観阿弥かんなみ世阿弥ぜあみ父子が義満のちょうによって、京都に進出し、田楽でんがくの座の能や、諸国の猿楽の座の芸を追い抜いて
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
能楽が今でも日本文化の一つの代表的な産物として世界に提供し得られるものであるとすれば、その内の少なからぬ部分の創作者である世阿弥ぜあみは、世界的な作家として認められなくてはなるまい。
たとえば世阿弥ぜあみの「花伝書」や「申楽談義さるがくだんぎ」などを見てもずいぶんおもしろいいろいろのものが発見さるるようである。
俳諧の本質的概論 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そして又、僕は、無理な諸観念の跳梁ちょうりょうしないそういう時代に、世阿弥ぜあみが美というものをどういう風に考えたかを思い、其処そこに何の疑わしいものがない事を確めた。