一盞ひとつ)” の例文
「まづその御意おつもりでお熱いところをお一盞ひとつ不満家むづかしや貴方あなたが一寸好いと有仰おつしやる位では、余程よつぽど尤物まれものと思はなければなりません。全くすくなうございます」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それだから早くお前さんがう云えばいのに、今になってんな事を云っても仕方がない、家主が引取に来ると云うから、御酒ごしゅ一盞ひとつも上げなければならないから其の支度をして置きなさい
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「でも、一盞ひとつぐらい、お酌をしましょう。」
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ご亭主、お別れじゃ、一盞ひとつあげましょう」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
貫一は止む無くその一盞ひとつを受けたり。はやかく酒になりけれども、満枝が至急と言ひし用談に及ばざれば
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「まあ一盞ひとつ。」
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「私も一向不調法なのでございますよ。折角差上げたものですからお一盞ひとつお受け下さいましな」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)