一渡ひとわたり)” の例文
ざいの人が町に出た帰りに必ず立ち寄るのがこれらの店であります。農村で使う一渡ひとわたりの品が皆揃えてあります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
一渡ひとわたり店の売物に目を配ると、真中まんなかつるした古いブリキの笠の洋燈ランプは暗いが、駄菓子にもあめにも、鼠は着かなかった、がたりという音もなし、納戸の暗がりは細流のような蚊の声で
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
腕も器量もすごいのが、唐桟とうざんずくめのいなせななりで、暴風雨あらしに屋根を取られたような人立ひとだちのする我家の帳場を、一渡ひとわたりみまわしながら、悠々として、長火鉢の向側、これがその座に敷いてある
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)