一拉ひとひし)” の例文
双方がにらみ合ってる中に、父の弟分なり乾児こぶんなりであった肴屋さかなやたつという六尺近くもある大男の豪のものが飛び出して、相手を一拉ひとひしぎにしたので
思はず後居しりいに腰を突く、ひざの上に真俯伏まうつぶせ、真白な両手を重ねて、わなゝくまげの根、うなじさへ、あざやかに見ゆる美人のえりを、が手ともなく無手むんずと取つて一拉ひとひしぎ。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)