一件いっけん)” の例文
すこぶる真面目まじめな顔をしているが、早く当番を済まして、例の酒舗しゅほで一杯傾けて、一件いっけんにからかって遊びたいという人相である。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼処あすこさ東京の人だからね。このあいだ一件いっけんもので大騒ぎをしたでがす。行って見てしんぜますべい。うに、はい、何処どっかずらかったも知んねえけれど、台所の衆とは心安こころやすうするでがすから
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『おい。こゝの火鉢を借りて、一件いっけんの膏薬を貼つたらうだ。』
赤膏薬 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
あるきながら一件いっけんと手を組んで散歩する時を夢みている。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)