“ヨゴト”のいろいろな漢字の書き方と例文
ひらがな:よごと
語句割合
寿詞45.7%
賀正事11.4%
齢詞8.6%
呪言5.7%
穀言5.7%
寿言2.9%
齢言2.9%
吉詞2.9%
壽詞2.9%
奏寿2.9%
奏詞2.9%
生命呪2.9%
齡言2.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
さうして別に、寿詞ヨゴトに注意を向けた人は、祝詞の古いものだと称してゐた。勿論祝詞に宣下・奏上両方面のあることは、固よりである。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
中臣寿詞以外、氏々の賀正事ヨゴト——誄詞シヌビゴトも同じ物で、其用途によつて別名をつけたまでゞある。
よごとは、臣従を誓ふ者が、其氏族の守護霊を捧げて、長者の齢を祝福する意味の詞であつた。だから、寿詞ヨゴトは、実は齢詞ヨゴトである。宣があれば奏が伴ふ。
高御座 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
古代に於ける呪言ヨゴトは、必、其對象たる神・精靈の存在を豫定して居たものである。賀正事ヨゴトに影響せられる者は、天子の身體といふよりも、生き御靈であつたと見るのが適當である。
壽詞と書いて居るのは、ほぐの義から宛てたのではなく、長壽を豫祝する「齡言ヨゴト」の意味を見せて居るのだ。併し、それよりも更に古くは「穀言ヨゴト」の意に感じても居、眞の語原でもあつたらしい。
日嗣ぎの皇子ミコが、日の皇子(天子様)におなりなされると、天子様としての仰せ言が下る。すると、群臣は天子様に対して、寿言ヨゴトを申し上げる。
大嘗祭の本義 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
だから、天子様が伊勢の大神に申される御言葉は、元来寿言ヨゴトの性質のものである。だが、延喜式では、前者も後者も等しく、祝詞と称して居る。
大嘗祭の本義 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
寿詞が、完全に齢言ヨゴトの用語例に入つて来たのは、宮廷の行事が、機会毎に天子の寿をなす傾きを持つてゐたからであらう。
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
此祝詞は、今在る祝詞の中、まづ一等古いもので、齢言ヨゴト以外の寿詞ヨゴトの俤を示すものではなからうかと思ふ。但、天つ祝詞以外の文句は、時代は遥かに遅れて居る。
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
(一)……伊波比イハヒ返事カヘリゴト神賀カムホキ吉詞ヨゴト……ツギテのまゝに、供斎イハヒゴトつかへまつりて……天つつぎての神賀カムホキ吉詞ヨゴトまをしたまはくとまをす。(出雲国造神賀詞)
奈良朝以前は、各氏上——恐らくは氏々の神の神主の資格に於て——が、天子に「賀正事ヨゴト」を奏上することになつてゐた。賀正事ヨゴトは意義から出た宛て字で、壽詞ヨゴトと同じである。
宮廷の大事なる受朝朝賀の初春の宣命ノリト奏寿ヨゴト——元日受朝の最大行事であつた事は後の令の規定にまで現れてゐる——の印象が、此を区別する習慣を作つて行つたものと思はれる。
詔旨ノリト奏詞ヨゴトとの間に「護詞イハヒゴト」と言ふものがあつて、古詞章の一つとして行はれて居た。
其に関係深い家々の氏上たる人々の生命呪ヨゴトは、唯二つしか伝つてゐない。
壽詞と書いて居るのは、ほぐの義から宛てたのではなく、長壽を豫祝する「齡言ヨゴト」の意味を見せて居るのだ。併し、それよりも更に古くは「穀言ヨゴト」の意に感じても居、眞の語原でもあつたらしい。