-
トップ
>
-
もろずね
と叫ぶ男あって二間丸太に論もなく
両臑脆く
薙ぎ倒せば、倒れてますます怒る清吉、たちまち
勃然と起きんとする
襟元把って、やい
我だわ、血迷うなこの馬鹿め
疾しや遅しや其時此時、
背面の方に
乳虎一声、馬鹿め、と叫ぶ男あつて二間丸太に論も無く
両臑脆く
薙ぎ倒せば、倒れて益〻怒る清吉、忽ち
勃然と起きんとする襟元
把つて、やい
我だは
男は
草鞋穿、
脚絆の
両脚、しゃんとして、
恰も一本の杭の如く、松を仰いで、
立停って、……
眦を返して波を
視た。