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ふみつ
常には優しくしていざこうという時は猫が
鼠を
捕るごとくあたかも虎のような勢いを現わして良人を
辟易させるです。またきわめて我儘で
良人を
踏付けて他に男をこしらえるのを何とも思わんです。
其代り二十八
日には
大失敗をして、
坑に
入ると
忽ち
異臭紛々たる
物を
踏付けた。これは
乞食の
所爲だと
思ふ。
あの高柳の
行為を考へて見て呉れたまへ。あゝ、いくら
吾儕が無智な
卑賤しいものだからと言つて、
蹈付けられるにも程が有る。どうしても
彼様な男に勝たせたくない。