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びやうきぜんくわい
此時江戸表には八代將軍
吉宗公近習を
召れ上意には奉行越前守は未だ
病氣全快は致さぬか芝
八山に居る天一坊は
如何せしやと
發と御
溜息を
加へけれども
驗しなきゆゑ茂兵衞の
枕元へ金屋利兵衞を
始め家内
殘らず
呼集め
我此度の
病氣全快覺束なし因て江戸の
得意を利兵衞殿へ
預け申なり
悴吉三郎
成人迄何卒我が
得意先を
以て越前守方へ
此度將軍の
上意に越前守には未だ
病氣全快致さぬか
芝八山に居る天一坊は
如何せしやとの御事なれば
明朝は
早速に
登城致し
御返答申上らるゝか
今宵の内に
御役御免を