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ひでよしがた
賤ヶ
岳の
総くずれから、
敵営、
秀吉方の目をかすめて、やっと世をはなれた
竹生島に、
旧知の
菊村宮内をたよってきた——
柴田の
落武者、
上部八風斎の鼻かけ
卜斎。
猿のように
梢へのぼるとちゅうでも、
秀吉方の
甲冑武者に、
槍の
柄でピシリッと
叩かれたが、それさえ、
必死であったので、
痛いともなんとも
性にこたえなかった。
その城とは、三里
弱の
距離をおいて、
水屋ノ
原にかりの野陣をしいているのは、すなわち
秀吉方の
軍勢で、
紅紫白黄の旗さしもの、まんまんとして
春風に吹きなびいていた。