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にぶいろ
ものをいわない
湯沸かしは、ガラス
窓から
射し
込むうすい
日の
光に
照らされて、
鈍色に
沈んでいました。じっとしていると、
疲れが
出てくるものと
思われました。
と思うと、余呉の湖水や
琵琶の
大湖も、銀のつやをかき消されて、
鉛のような
鈍色にかわってくる。
其の
鈍色を破ツて、處々に
煤煙が
上騰ツてゐる。
眞直に
衝騰る勢が、何か壓力に支へられて、横にも
靡かず、ムツクラ/\、恰で
沸騰でもするやうに、
濃黒になツてゐた。