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辺
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あた
ふりがな文庫
“
辺
(
あた
)” の例文
旧字:
邊
「気持の好いお部屋ですね。」とチチコフは、さっと
辺
(
あた
)
りを見まわしてから言った。それはまったく、気持の悪い部屋ではなかった。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
左門に追われて逃げた十数人の五郎蔵の乾児たちは、紙帳の角から少し離れた
辺
(
あた
)
りで一団となり、左門を迎え撃つ姿勢をととのえた。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「どうもおしゃべりが過ぎたようだ。地下室の水は大方腰の
辺
(
あた
)
りまでになったろう。さあ、君を入れて、水を止めなければならん」
計略二重戦:少年密偵
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
永い間の都会生活に比して、何んともいえず新鮮な心地がする。例えば大阪を
仕舞風呂
(
しまいぶろ
)
とすればこの
辺
(
あた
)
りの空気は朝風呂の感じである。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
万太郎も
辺
(
あた
)
りの動揺につり込まれずにはおられません、
素破
(
すわ
)
と立って、言い合せた如く、金吾のあとから望楼へ向って駆け上がる。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
信濃町権田原
(
しなのまちごんだわら
)
を
経
(
へ
)
、青山の大通を横切って
三聯隊裏
(
さんれんたいうら
)
と
記
(
しる
)
した赤い棒の立っている
辺
(
あた
)
りまで、その沿道の大きな建物は
尽
(
ことごと
)
く陸軍に属するもの
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
方角や歩数等から考えると、私が、汚れた
孔雀
(
くじゃく
)
のような
恰好
(
かっこう
)
で散歩していた、
先刻
(
さっき
)
の海岸通りの裏
辺
(
あた
)
りに当るように思えた。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
橋から見える限りの
辺
(
あた
)
りの水面は、油のようなべっとりした感じの黒光りを放った、いっこうに皺のない
滑
(
なめ
)
らかさであった。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
その中を、軽井沢
辺
(
あた
)
りの客と見えて、珍らしそうに
眺
(
なが
)
めて行く西洋の婦人もあった。町の子供はいずれも嬉しそうに群集の間を飛んで歩いた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
翌日は朝より赤塚氏の
訪
(
と
)
ひ来給ひてさまざまの興ある話を聞かせ給ひ
候
(
さふらふ
)
、
昨夜
(
よべ
)
の散歩に天草
辺
(
あた
)
りより
来
(
きた
)
れる哀れなる女達の住める街を通り給ひて
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「実はね、争議団から松金へ内通している者の話によると、奴等今晩
辺
(
あた
)
りデモを起そうという計画を立ててる相だ。」
鋳物工場
(新字新仮名)
/
戸田豊子
(著)
「まだあの
乞食
(
こじき
)
がこの
辺
(
あた
)
りをうろついている。
早
(
はや
)
くどこへなりとゆきそうなものだ。
犬
(
いぬ
)
にでもかまれればいいのだ。」
黒い旗物語
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
数年前、1930年
辺
(
あた
)
りを中心にして、数年間に欧米の一流の数学者が数人日本へ引続いて来たことがある。これはまだ記憶にも新しいことである。
回顧と展望
(新字新仮名)
/
高木貞治
(著)
その声が襖越しに
畏
(
かしこ
)
き
辺
(
あた
)
りの御耳に入つた。そして何事かとのお尋ねがあつたので、皆は恐縮しながら、そのなかの一人から事の仔細を申し上げた。
茶話:11 昭和五(一九三〇)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ひと
度
(
たび
)
それが理解されはじめると、歌人全体の傾向がひととびにその
辺
(
あた
)
り近くまで押し移ったことでも判るのである。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
彼はその時
服装
(
なり
)
にも、動作にも、思想にも、ことごとく当世らしい才人の
面影
(
おもかげ
)
を
漲
(
みなぎ
)
らして、
昂
(
たか
)
い首を世間に
擡
(
もた
)
げつつ、行こうと思う
辺
(
あた
)
りを
濶歩
(
かっぽ
)
した。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
時どき
烟
(
けむり
)
を吐く煙突があって、田野はその
辺
(
あた
)
りから
展
(
ひら
)
けていた。レンブラントの素描めいた風景が散らばっている。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
喬介に
伴
(
ともな
)
われた一行が、二号
船渠
(
ドック
)
の海に面した岸壁の
辺
(
あた
)
りまで来た時に、どきまぎしながら彼等について行った私に向って、初めて喬介が口を切った。
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
助けるけれども薩州
辺
(
あた
)
りから何とか口を添えて
呉
(
く
)
れると都合が宜いなんて
又
(
また
)
弱い事を云うから、
宜
(
よろ
)
しいと
云
(
い
)
い
棄
(
す
)
てゝ、
夫
(
そ
)
れから私は薩州の屋敷に
行
(
いっ
)
て
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
と短く折った蓮の
蕋
(
しべ
)
を抱えて、売ってくれる子とも
馴染
(
なじみ
)
になって、蓮の実の味も知った。そんな事は日本橋油町
辺
(
あた
)
りの子供の誰一人知ってはいなかった。
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
出発の朝、ぼくは
向島
(
むこうじま
)
の古本屋で、
啄木
(
たくぼく
)
歌集『悲しき
玩具
(
がんぐ
)
』を買い、その
扉紙
(
とびらがみ
)
に、『はろばろと海を
渡
(
わた
)
りて、
亜米利加
(
アメリカ
)
へ、ゆく朝。
墨田
(
すみだ
)
の
辺
(
あた
)
りにて求む』
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
席上に年若き紳士あり、
金縁
(
きんぶち
)
の
眼鏡
(
めがね
)
を眼の上ならで鼻の上の
辺
(
あた
)
りに
載
(
の
)
せながら眼鏡越しに座敷の隅々まで眺め廻し
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
お
内室様
(
かみさん
)
へ少々伺いますが、
何
(
いず
)
れの方かは存じませんが、只今四つの時に別れたと仰しゃいます、その人は本郷丸山
辺
(
あた
)
りで別れたのではございませんか
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
伯夷叔斉の時代に海外に渡る大船があったなら、恐らく首陽山に隠れないで、日本
辺
(
あた
)
りに来たのであったろう。
真の愛国心
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
刑事は頬の
辺
(
あた
)
りを変に
歪
(
ゆが
)
めて、いやらしい笑いを見せた。赤羽主任は云われるままに梯子を昇って行ってみた。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
少女
(
おとめ
)
は旅人が立ち寄る小さき茶屋の娘なりき、年経てその家倒れ、家ありし
辺
(
あた
)
りは草深き野と変わりぬ。
詩想
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
私どもが聞いたんでも、
吾妻橋
(
あづまばし
)
の佐竹様のお屋敷の
辺
(
あた
)
りかと思うと、
松倉
(
まつくら
)
の方に変り、
原庭
(
はらにわ
)
の
松厳寺
(
しょうげんじ
)
の空地かと思うと、急に荒井町の方角に変ったりいたします。
銭形平次捕物控:014 たぬき囃子
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
僅
(
わず
)
か百年と少し前までは、こういった快活な女性が、まだあの
辺
(
あた
)
りにもいたということもなつかしいが、同時にまたこの一種のエキゾチシズムが無限に持続して
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
身動
(
みうごき
)
をなさる度ごとに、
辺
(
あた
)
りを
輝
(
て
)
らすような宝石がおむねの辺やおぐしの中で、ピカピカしているのは、なんでもどこかの宴会へお
出
(
いで
)
になる処であったのでしょう。
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
そしてまもなく、
泳
(
およ
)
いだり、
潜
(
くぐ
)
ったり
出来
(
でき
)
る
様
(
よう
)
な
水
(
みず
)
の
辺
(
あた
)
りに
来
(
き
)
ましたが、その
醜
(
みにく
)
い
顔容
(
かおかたち
)
のために
相変
(
あいか
)
らず、
他
(
ほか
)
の
者達
(
ものたち
)
から
邪魔
(
じゃま
)
にされ、はねつけられてしまいました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
と云つて、お嬢様は
彼方
(
あちら
)
向いて男と一緒に行つた。緋の細工
羽二重
(
はぶたへ
)
の
根掛
(
ねがけ
)
の菊が、今迄この人の顔の美しいのを眺めて酔つたやうに立つて居た
辺
(
あた
)
りの人の目に映つた。
御門主
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「
溢血点
(
いっけつてん
)
があるな。」と呟くと、今度は屍体を仰向けにした。すると、股下の
辺
(
あた
)
りから——ちょうど
閾
(
しきい
)
から一寸程下った所に当るのだが——
真鍮製
(
しんちゅうせい
)
の手燭が現われた。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
ん、そういえば、あのごんごろ
鐘
(
がね
)
は
深谷
(
ふかだに
)
のあたりでつくられたのだ。いまでもあの
辺
(
あた
)
りに
鐘鋳谷
(
かねいりだに
)
という
名
(
な
)
の
残
(
のこ
)
っている
小
(
ちい
)
さい
谷
(
たに
)
があるが、そこで、
鋳
(
い
)
たということだ。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
僅か四ヵ月位の旅ですけれども殊にインド
辺
(
あた
)
りの熱い所へ行くのだから死なないようにして下さい
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「自分はまだ生涯に
三度
(
さんど
)
しか万歳を唱へたことはない。最初は、……二度目は、……三度目は、……」制服を着た大学生は膝の
辺
(
あた
)
りの寒い為に、始終ぶるぶる震へてゐた。
漱石山房の冬
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これ見馴れ聞き馴るるのあまり、その威を
涜
(
けが
)
すを畏れてなり。近ごろ水兵などが、畏き
辺
(
あた
)
りの御名を呼ばわりて人の頭を打ち、また売婬屋で
乱妨
(
らんぼう
)
などするを見しことあり。
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
全く作り方が同じである処から見ると、この玩具は初め印度
辺
(
あた
)
りから渡ったものらしい。
諸国の玩具:――浅草奥山の草分――
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
長椅子
(
ながいす
)
の
上
(
うえ
)
に
横
(
よこ
)
になった
切
(
き
)
り、そうして
歯
(
は
)
を
切
(
くいしば
)
っているのであるが、それが
段々
(
だんだん
)
度重
(
たびかさ
)
なれば
重
(
かさな
)
る
程
(
ほど
)
、
堪
(
たま
)
らなく、
終
(
つい
)
には
咽喉
(
のど
)
の
辺
(
あた
)
りまでがむずむずして
来
(
く
)
るような
感
(
かん
)
じがして
来
(
き
)
た。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
かくすること毎日少しも変わらず、例刻に到り
米舂
(
こめつき
)
場の
辺
(
あた
)
り田畑の
畔
(
あぜ
)
に
琅々
(
ろうろう
)
の声聞うれば、弟玉木文之進(松陰の叔父なり)常に笑って曰く、「ヤアまた兄さんのが始まった」と。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
あれは確か、私が八犬伝の信乃で舞台へ出た時であります——見物席の方を
眺
(
なが
)
めますと、何時もとは
異
(
ちが
)
って、平土間の見物席の
辺
(
あた
)
りが
神々
(
こうごう
)
しく輝いているように思ったのであります。
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私たちは鐘ヶ淵のさきを墨田堤の尽きる
辺
(
あた
)
りまで行き、荒川放水路に
架
(
か
)
かった堀切橋を渡って堀切の方まで行った。日曜のことなので放水路の堤には三々五々
行楽
(
こうらく
)
の人の姿も見えた。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
ここは吾々には
匿
(
かく
)
れた倉庫である。特に町の街道がやがて終る
辺
(
あた
)
りには、
在方
(
ざいかた
)
の人々が寄る荒物屋が一、二軒必ずあるものである。山間や奥地の村々で日常使う品物が
一
(
ひ
)
と
通
(
とおり
)
揃えてある。
地方の民芸
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
籔の
辺
(
あた
)
りには
頻
(
しき
)
りに鳥の声す。月の
明
(
あか
)
きに彼等の
得眠
(
えねぶ
)
らぬなるべし。
良夜
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
朧ろ朧ろの月の光も屋根に
遮
(
さえぎ
)
られてそこまでは届かず、
婆裟
(
ばさ
)
として暗いその
辺
(
あた
)
りを淡紅色にほのめかせて何やら老人は持っているらしい。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
流れこむ冷気に
面
(
おもて
)
をなでられて、徳川万太郎、ふッと、脇息から顔をあげると、金吾です。が、入口にたたずんで、
辺
(
あた
)
りを見廻しながら
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は支那料理食べるためにのみ本田町
辺
(
あた
)
りへ出かけるが、思う。
天華
(
てんか
)
クラブや
天仙閣
(
てんせんかく
)
のも支那の、そのかど口から見る家の眺めを私は愛している。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
を
浴
(
あ
)
びて、ちょうは、いくらか
元気
(
げんき
)
が
出
(
で
)
てきました。そして、どこかの
辺
(
あた
)
りに、
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
いてはいないかと、ひらひらと
舞
(
ま
)
い
上
(
あ
)
がったのでした。
ちょうと怒濤
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
が、彼は彼で自分の考えごとに夢中になっていたので、激しい雷鳴が一つガラガラっと来た時、初めて我れに返って、ようやく
辺
(
あた
)
りを見まわした程である。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
かもじの
価
(
あたい
)
も日本の十倍位するのである。首筋の
辺
(
あた
)
りで髪を切つて、そして
唯
(
たゞ
)
縮
(
ちゞ
)
らせて垂らした人もあるが、さう云ふ人も床屋へ来て網を掛けさせて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
学校の名もよくは覚えて居ないが、今の高等商業の横
辺
(
あた
)
りに
在
(
あ
)
って、僕の入ったのは十二三の頃か知ら。何でも今の中学生などよりは
余程
(
よほど
)
小さかった様な気がする。
落第
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“辺”の解説
right
辺(へん、英:
side
(二次元図形)、
edge
(三次元図形、ただし円柱の辺の様に線分でないものはこう呼ばれない))は、特定の“図形”の中で 1 次元の“部分”となっている、両端に頂点と呼ばれる特別の点を 0 次元の“部分”として含むような線分である。
(出典:Wikipedia)
辺
常用漢字
小4
部首:⾡
5画
“辺”を含む語句
頬辺
此辺
四辺
水辺
身辺
川辺
近辺
縁辺
辺鄙
其辺
天辺
炉辺
那辺
河辺
上辺
口辺
山辺
周辺
海辺
枕辺
...