“顔容”のいろいろな読み方と例文
旧字:顏容
読み方割合
かおかたち64.6%
かんばせ10.8%
かおだち9.2%
かおつき3.1%
かほかたち3.1%
がんよう3.1%
かおかた1.5%
かほだて1.5%
かほつき1.5%
かほばせ1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
葉子の郷里から上京して来たお八重は顔容かおかたちもよく調ととのって、ふくよかな肉体もほどよく均齊きんせいの取れた、まだ十八の素朴そぼくな娘だったので
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
道ばたの朽木くちき柳に腰をかけ、一行が近づいて来ると、俄に、脱いでいた市女笠いちめがさをかぶッて、その顔容かんばせを隠していた。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『ハテナ。あのお女はどこかで見た様な気がするが……?あの顔容かおだち、あの眼ざし、あの表情は確かに見覚があるが、ハテどこだったろう?』
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
小母さんよりか眼の怕い顔容かおつきで、小母さんよりか立派でだん/\小母さんに似ていなくなりましたが、あんまり不思議で傍の人にそっと聞いてみますと、小母さん
地上:地に潜むもの (新字新仮名) / 島田清次郎(著)
吉野は顔容かほかたちちつとも似ては居ないが、その笑ふ時の目尻の皺が、うやら、死んだ浩一——静子の許嫁——を思出させた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
陽にも焦け、埃にも汚れ、いかに道中を急速に上って来たか、その容子ようすにもうかがわれたが、顔容がんようにはさしたるつかれも見えない。静かに、白湯さゆをひと口のんで
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生きているうちは、ずいぶん美しかったに違いありませんが、すさんだ生活と気持が、その顔容かおかたちまでも荒れさして、意志の働かない死面しめんの凄まじさは、平次も思わず顔をそむけたくらい。
化粧けはつてはゐないが、さらでだに七難隠す色白に、長い睫毛まつげと格好のよい鼻、よく整つた顔容かほだてで、二十二といふ齢よりは、が目にも二つかつは若い。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
うち見るところ七八歳ななつやつから十五六じふごろく歳までの頑是ない稚児の時代から既に物心ついた少年期の成人しきつた顔容かほつきの奴まで、それがたつた一人の生長史をまざまざと見せつけられるかと思はれるまで
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
の長崎にて見し紅化粧したる天女たちとは事変り、その物腰のあどけなさ、顔容かほばせのうひ/\しさ、青葉隠れの初花よりも珍らかなり。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)