れい)” の例文
新字:
いまこそ彼女かのぢよは、をつとれい純潔じゆんけつ子供こどもまへに、たとへ一時いつときでもそのたましひけがしたくゐあかしのために、ぬことが出來できるやうにさへおもつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
暗夜やみよから、かぜさつ吹通ふきとほす。……初嵐はつあらし……可懷なつかしあきこゑも、いまはとほはるか隅田川すみだがはわた數萬すまんれい叫喚けうくわんである。……蝋燭らふそくがじり/\とまた滅入めいる。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
〔譯〕人心のれいは、しゆとす。氣はたいに之れつるものなり。凡そ事を爲すに、氣を以て先導せんだうと爲さば、則ち擧體きよたい失措しつそ無し。技能ぎのう工藝こうげいも、亦皆かくの如し。
れいなるかなこの石、てんあめふらんとするや、白雲はくうん油然ゆぜんとして孔々こう/\より湧出わきいたにみねする其おもむきは、恰度ちやうどまどつてはるかに自然しぜん大景たいけいながむるとすこしことならないのである。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
いきとし生る物子を愛せざるはなし燒野やけの雉子きゞすよるつる皆子を思ふが故に其身のあやふきをもかへりみずいはんや萬物のれいたる人間界にんげんかいに於てをや然るに情け無くも吉兵衞は妻の死去せしより身代を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そして驚いた私の耳に、顫へる胸に、れいを貫いて、三聲の叫びを顫はせたのだ。
ましてやしなへ起き伏すれいの野のべ
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
燃えこそあがらめれい烽火のろし
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
〔譯〕人心のれい太陽たいやうの如く然り。但だ克伐こくばつ怨欲えんよく雲霧うんむ四塞しそくせば、此のれいいづくに在る。故に意をまことにする工夫は、雲霧うんむはらうて白日をあふぐより先きなるはし。
もう此時このときは、ひと御神輿おみこしかつぐのでない。龍頭りうとうまた鷁首げきしゆにして、碧丹へきたん藍紅らんこういろどれる樓船やかたぶねなす御神輿おみこしはうが、いますれいとともに、ひとなみおもふまゝるのである。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れいの手これ將たむる日の高杯たかつき
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
〔譯〕生物は皆死をおそる。人は其れいなり、當に死を畏るゝの中より死を畏れざるの理を揀出けんしゆつすべし。吾れ思ふ、我が身は天物なり。死生のけんは天に在り、當に之を順受じゆんじゆすべし。
が、あれはゆきれいがあつて、小兒こども可愛いとしがつて、れてかへつたのであらうもれない。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
むなしきれい
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
斷崖がけ清水しみづ龍女りうぢよべうあり。われは浦島うらしまか、ひめれいぞとしが、やがてんぬ。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れいの靈。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
つきて、面影おもかげゆべくは、たれかまた哀別離苦あいべつりくふものぞ。たかれいよ、須臾しばらくあひだかへれ、に。きみにあこがるゝもの、あいらしくかしこ遺兒ゐじたちと、温優貞淑をんいうていしゆくなる令夫人れいふじんとのみにあらざるなり。
芥川竜之介氏を弔ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ゆきなん——荷擔夫にかつぎふ郵便配達いうびんはいたつひとたち、むかし數多あまた旅客りよかくも——これからさしかゝつてえようとする峠路たうげみちで、屡々しば/\いのちおとしたのでありますから、いづれれいまつつたのであらう、と大空おほぞらくも
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)