天女てんによ)” の例文
天女てんによ御空みそらふがごと美音びおんは、こゝろなき壇上だんじやうはなさへさへゆるぐばかりで、滿塲まんじやうはあつとつたまゝみづつたやうしづまりかへつた。
野人やじん蟷螂たうらうあり、をのげて茄子なすかたきをつ、ひゞきさときぬたにこそ。朝夕あさゆふそらみ、みづきよく、きりうす胡粉ごふんめ、つゆあゐく、白群青びやくぐんじやうきぬ花野原はなのばらに、ちひさき天女てんによあそべり。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
君は天から天女てんによのやうにふはりと飛んで來るかと思ふ……。
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
天女てんによ羽衣はごろもうしなひたる心地こゝちもしたりき。
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
天女てんによいづみ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
としころ廿六七、まゆうるはしい口元くちもとやさしい丁度ちやうど天女てんによやう美人びじんわたくし一目ひとめて、この夫人ふじんその容姿すがたごとく、こゝろうるはしく、にも高貴けだか婦人ふじんおもつた。
うだ北八きたはち線路せんろわきもり鶯花園あうくわゑんだよ、いた天女てんによ賣藥ばいやく廣告くわうこくだ、そんなものに、見愡みとれるな。おつと、またその古道具屋ふるだうぐやたかさうだぜ、お辭儀じぎをされるとむづヶしいぞ。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
またかの天女てんによごと春枝夫人はるえふじんが、萬一まんいちにも無事ぶじであつて、このいさましい姿すがたたならば、どんなにおどろよろこことであらう。
なるかなさら一時間いちじかんいくらとふ……三保みほ天女てんによ羽衣はごろもならねど、におたからのかゝるねえさんが、世話せわになつたれいかた/″\、親類しんるゐようたしもしたいから、お差支さしつかへなくば御一所ごいつしよ
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)