)” の例文
らうと云つたそのお幸の父も、お幸とお幸より三つ歳下とししたの長男の久吉ひさきちがまだ幼少な時に肺病にかかつて二年余りもわづらつて歿くなりました。
月夜 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
見ておどろきたるていなりしが其盜賊はまつたわたくしなりの者は御助おんたすけ下さるべしと申けるをきゝ伊兵衞は八にむかひ汝は我が先達さきだつて寸志すんしむくはんとて命をすてて我を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
だから貧時ひんじにはひんばくせられ、富時ふじにはに縛せられ、憂時ゆうじにはゆうに縛せられ、喜時きじにはに縛せられるのさ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
老いて愚に返ったの字の祝いのようで、まるで置き物かなんぞのように至極穏当な好々爺こうこうやとしか見えない。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
私は友達のィ公のととさんは喇叭卒ラッパそつであることを思い出して、喜ィ公のととさんはえらイなあと思った。
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
此の大屋の勢いは大したもので、伊香保には結構なのが沢山ございますが、中にも名高いのは木暮金太夫こぐれきんだゆう、木暮武太夫ぶだゆう永井ながいろう、木暮八ろうと云うのが一等宜いと彼地あちらで申します。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かみ束髮そくはつに、しろいリボンをおほきくけたが、美子みいこいちやんもなるをりから、當人たうにんなにもなしにとゝもに押移おしうつつたものらしい。が、てんせる下町したまち娘風むすめふうは、くだんかみひさしえぬ。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
町内てうないかほいのは花屋はなやのお六さんに、水菓子みずぐわしやのいさん、れよりも、れよりもずんといはおまへとなりすわつておいでなさるのなれど、正太しようたさんはまあれにしようとめてあるえ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お供先の建部たてべ六、磯貝いそがい十郎左衛門、中村清右衛門などが、悄然として城内からそろって出て来た。若い磯貝十郎左衛門の瞼が、紅くなっているのを見ると、誰もが、はっと恐怖的な動悸どうきに打たれた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「しっ、悦治えつじ、やがましったら、嘉助え、っこう。わあい。」
風の又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
いちゃんと云う子がいる。なめらかな皮膚ひふと、あざやかなひとみを持っているが、ほおの色は発育の好い世間の子供のように冴々さえざえしていない。ちょっと見ると一面に黄色い心持ちがする。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かゝゆとき請人うけにんは何者がいたしたるやとある粂之進くめのしん夫はすなはをつと八に候と云大岡殿かさねて其喜そのき八は火付盜賊に相違さうゐなしとてそれがし方へ添状そへじやうを以て此程このほどおくられたる其許そのもと何故なにゆゑ科人とがにんの妻をやく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お六さんのつきか、いさんの清元きよもとか、まあれをえ、とはれて、正太しようたかほあかくして、なんだお六づらや、こう何處どこものかとりらんぷのしたすこ居退ゐのきて、壁際かべぎははうへと尻込しりごみをすれば
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あいぞうと名のりつつ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
目下もくかでは大倉おほくららうくんさ。
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
つかはしたる喜八とやらんとられたるや又外に有事あることなるかと不審ふしんに思ひよくけば其人そのひとは全く彼の八に相違さうゐなく火付盜賊におちいり近々きん/\火罪ひあぶりとの事なりしかば田子たこ伊兵衞いへゑ思ふはとがなき者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私がまだ小学校に行っていた時分に、いちゃんという仲の好い友達があった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いちゃんは、これがために滅多めったに表へ出て遊んだ事がない。もっとも近所はあまり上等でない。前に塩煎餅屋しおせんべいやがある。その隣に瓦師かわらしがある。少し先へ行くと下駄げたの歯入と、かけ錠前直じょうまえなおしがある。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)