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一先
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ひとまづ
ふりがな文庫
“
一先
(
ひとまづ
)” の例文
女組は
一先
(
ひとまづ
)
別室に休息した。富江一人は
彼室
(
あつち
)
へ行き
此室
(
こつち
)
へ行き、
宛然
(
さながら
)
我家の様に振舞つた。お柳は
朝
(
あさつ
)
から口喧しく台所を
指揮
(
さしづ
)
してゐた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
利を受取る訳に行かなかつたから、書替をして来たと言へば、それで
一先
(
ひとまづ
)
句切が付くのでありますから、どうぞ一つさう願ひます
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
検死事件で一寸手離されず、
彼方此方
(
あつちこつち
)
へと駈走つて居たが、
漸
(
やうや
)
く何うにかなりさうになつたので、
一先
(
ひとまづ
)
体を休めに帰つて来たとの事であつた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
老人等
(
としよりら
)
は
一先
(
ひとまづ
)
自分
(
じぶん
)
の
家
(
いへ
)
に
歸
(
かへ
)
つた。
卯平
(
うへい
)
も
隣
(
となり
)
の
森
(
もり
)
の
陰翳
(
かげ
)
が一
杯
(
ぱい
)
に
掩
(
おほ
)
うて
居
(
ゐ
)
る
狹
(
せま
)
い
庭
(
には
)
に
立
(
た
)
つた
時
(
とき
)
は、
勘次
(
かんじ
)
はおつぎを
連
(
つ
)
れて
開墾地
(
かいこんち
)
へ
出
(
で
)
た
後
(
あと
)
であつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「十月朔日。晴。朝六時石原御門前より川崎屋船に乗組、南新堀
万屋
(
よろづや
)
正兵衛方へ
一先
(
ひとまづ
)
落著、黄昏和歌山蒸汽明光丸へ乗組。船賃九両茶代金二百疋。」
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
其
(
その
)
時分
(
じぶん
)
には
丁度
(
ちやうど
)
舊
(
きう
)
の
正月
(
しやうぐわつ
)
が
來
(
く
)
るので、
一先
(
ひとまづ
)
國元
(
くにもと
)
へ
歸
(
かへ
)
つて、
古
(
ふる
)
い
春
(
はる
)
を
山
(
やま
)
の
中
(
なか
)
で
越
(
こ
)
して、
夫
(
それ
)
から
又
(
また
)
新
(
あた
)
らしい
反物
(
たんもの
)
を
脊負
(
しよ
)
へる
丈
(
だけ
)
脊負
(
しよ
)
つて
出
(
で
)
て
來
(
く
)
るのだと
云
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「明日の晩だ。間違ひはなからうな。僕達が直ぐフンガイする者だといふことはよく知つてゐるから大丈夫だ。」「兎に角看いたら
一先
(
ひとまづ
)
僕の家へ陣取らう。」
〔編輯余話〕
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
出やうが
早
(
はや
)
いと
魔劫
(
まごふ
)
が
未
(
ま
)
だ
除
(
と
)
れないから
何時
(
いつ
)
かはこれを
持
(
もつ
)
て居るものに
禍
(
わざはひ
)
するものじや、
一先
(
ひとまづ
)
拙者が
持歸
(
もちかへ
)
つて三年
經
(
たつ
)
て
後
(
のち
)
貴君
(
あなた
)
に
差上
(
さしあ
)
げることに
仕
(
し
)
たいものぢや
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
起りは、何処にあらうとも、
一先
(
ひとまづ
)
民間の話になつてゐたものを、やゝ潤色して書いたのだらうと思ふ。
信太妻の話
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
案内に致し當十二月廿二日の
夜
(
よ
)
奧
(
おく
)
へ忍び入り藤五郎
并
(
ならび
)
に藤三郎の兩人を
一先
(
ひとまづ
)
盜
(
ぬす
)
み出し候に
紛
(
まぎ
)
れ御座なく候然る處當主主税之助より其夜
居間
(
ゐま
)
の金子百兩紛失の由申立候は其身の惡事を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
予は函館から予よりも先に来てゐた家族と共に、姉の
家
(
うち
)
にゐたが、幸ひと花園町に二階二室貸すといふ家が見付つたので、
一先
(
ひとまづ
)
其処に移つた。
悲しき思出:(野口雨情君の北海道時代)
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
よろ/\と
身体
(
からだ
)
をよろめかしながら、
猶
(
なほ
)
其相手に喰つて
蒐
(
かゝ
)
らうとするので、相手の若者は
一先
(
ひとまづ
)
其儘次の間へと追遣られた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
美禰子から
金
(
かね
)
を
借
(
か
)
りた
翌日
(
あくるひ
)
もう一遍訪問して余分をすぐに返すべき所を、
一先
(
ひとまづ
)
見合せた代りに、
二日
(
ふつか
)
ばかり
待
(
ま
)
つて、三四郎は丁寧な礼状を美禰子に送つた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
見る間に
何
(
なん
)
十
個
(
こ
)
といふヘボ石の
行列
(
ぎやうれつ
)
が出來た。けれども
靈妙
(
れいめう
)
なる石は
遂
(
つひ
)
に
影
(
かげ
)
をも見せないので
流石
(
さすが
)
の
權勢家
(
けんせいか
)
も
一先
(
ひとまづ
)
搜索
(
さうさく
)
を中止し、
懸賞
(
けんしやう
)
といふことにして
家
(
いへ
)
に
歸
(
かへ
)
つた。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
如此
(
かくのごと
)
き
輩
(
やから
)
を
出入
(
でいり
)
せしむる鴫沢の家は、
終
(
つひ
)
に不慮の
禍
(
わざはひ
)
を招くに至らんも知るべからざるを、と彼は心中
遽
(
にはか
)
に
懼
(
おそれ
)
を生じて、さては彼の恨深く
言
(
ことば
)
を
容
(
い
)
れざるを
幸
(
さいはひ
)
に、
今日
(
こんにち
)
は
一先
(
ひとまづ
)
立還
(
たちかへ
)
りて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
探
(
さぐ
)
り若し引取ずんば其時は何を
爲
(
し
)
てなりとも
繁華
(
はんくわ
)
の江戸ゆゑ親子二人
渡世
(
とせい
)
のならぬ事は有まじ
若
(
もし
)
運
(
うん
)
よく
立身
(
りつしん
)
いたしなは今の
難儀
(
なんぎ
)
せし
面
(
おもて
)
を
見返
(
みかへ
)
さん何は兎もあれ
一先
(
ひとまづ
)
江戸へ出べしとて夫より
世帶
(
せたい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
さて夜が明けてから、一成、内藏允が黒田家の行列を立てゝ品川口に掛かると、番所から使者が來て、阿部
對馬守
(
つしまのかみ
)
の申付である、黒田殿には御用があるによつて
一先
(
ひとまづ
)
東海寺へ立ち寄られたいと云つた。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
今出すから、まア
一先
(
ひとまづ
)
坐んなさいと
和
(
なだ
)
められて、兎に角再び席に
就
(
つ
)
いたが、前の酒を一息に
仰
(
あふ
)
つて
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
『御苦労も糞も
無
(
ね
)
えが、なす、先生、然う言ふ訳だハンテ、
何卒
(
どうか
)
一先
(
ひとまづ
)
戻して貰つてござれ。』
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
安井
(
やすゐ
)
は
一先
(
ひとまづ
)
郷里
(
きやうり
)
の
福井
(
ふくゐ
)
へ
歸
(
かへ
)
つて、
夫
(
それ
)
から
横濱
(
よこはま
)
へ
行
(
ゆ
)
く
積
(
つも
)
りだから、もし
其時
(
そのとき
)
には
手紙
(
てがみ
)
を
出
(
だ
)
して
通知
(
つうち
)
をしやう、さうして
成
(
な
)
るべくなら
一所
(
いつしよ
)
の
汽車
(
きしや
)
で
京都
(
きやうと
)
へ
下
(
くだ
)
らう、もし
時間
(
じかん
)
が
許
(
ゆる
)
すなら
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
貴下方
(
あなたがた
)
がそれまで遊佐さんの件に就いて御心配下さいますなら、かう
為
(
な
)
すつて下さいませんか、ともかくもこの約束手形は遊佐さんから戴きまして、この方の
形
(
かた
)
はそれで
一先
(
ひとまづ
)
附くのですから
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
爲難
(
なしがた
)
し依て
一先
(
ひとまづ
)
江戸表へ
御旅館
(
ごりよくわん
)
を
修繕
(
しつらひ
)
篤
(
とく
)
と
動靜
(
やうす
)
見計
(
みはから
)
ひ其上にて御下り有て然るべし其
間
(
あひだ
)
には江戸表の
御沙汰
(
ごさた
)
も相分り申さん
變
(
へん
)
に
應
(
おう
)
じて事を計らはざれば
成就
(
じやうじゆ
)
の
程
(
ほど
)
計難
(
はかりがた
)
しといふに然ば江戸表に
旅館
(
りよくわん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
先
常用漢字
小1
部首:⼉
6画
“一”で始まる語句
一
一人
一寸
一言
一時
一昨日
一日
一度
一所
一瞥