黒烟こくえん)” の例文
雨はんだ代りに、風が少し出て、その黒烟こくえんとその火とが恐ろしい勢で、次第に其領分をひろめて行く。寺の鐘、半鐘、叫喚、大叫喚※
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
黒烟こくえんを吐いて本牧ほんもくの沖に消えて行く巨船の後ろ影を見送っているうちに、兵馬は、壮快な感じから、一種の悲痛な情が湧いて来るのを、禁ずることができません。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
桟橋に繋留けいりゅうされた、目的の貨物船ははげしい風の中に、さかんに黒烟こくえんをあげていた。
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
吾人はただ西天をげいしてその黒烟こくえんの上るをまつのみ。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
青息あほいきならぬ黒烟こくえんを。 きてかげをばかくしけり。